去る4月7日から17日まで、アメリカ合衆国フロリダ州ホームステッドにて、IFMAR主催による1/8エンジンオンロードレーシングカー世界選手権が開催されました。日本からは今回も多数のドライバーが参加しましたが、O.S.エンジンは、下 高章、原 篤志の2選手をサポート。新開発レーシングエンジン、O.S. SPEED 21XZ-Rも、この世界の桧舞台で発売より一足先に世界選手権デビューを果たしました。1/8レーシングカテゴリーで数々の実績と経験を持つ、下選手に加え、同カテゴリー初参戦となる1/8バギー・ワールドチャンピオンドライバー原選手が、ハチイチオンロードデビュー戦でどのような闘いを見せるのか? 多くのファンがその活躍に注目しています。マシンは下選手がKYOSHO、原選手MUGENの最新マシンをそれぞれ使用しています。 また今大会の大きな見どころの一つが10回目の世界チャンピオンに王手をかけたイタリアのランベルト・コラーリ選手。連続優勝記録を伸ばすのかどうか? ストップ・ザ・コラーリを目指すハチイチレーシングドライバーが、世界中からこの地に集まってきました。10日間にも渡る熱いバトルがいよいよ開幕です。

MAX-21シリーズで1/8エンジンオンロードレースにチャレンジを続けてきたO.S.エンジンは、今回の世界選手権に合わせ、初となるファクトリーチューニングモデルO.S. SPEEDバージョンを投入。1/8バギーで世界チャンピオンエンジンになるなど実績を積んだO.S. SPEEDバージョンで、世界のトップドライバー、そして世界のライバルエンジンとどう戦っていくのか? が、我々O.S.チームとしても大きな課題でした。ランベルト・コラーリ選手に連続ワールドチャンピオンの栄光をもたらしているイタリア製エンジンをはじめ、R/Cカーコンペティション最速スピードで戦うこのカテゴリーで、世界の強豪と凌ぎを削るためには、エンジンにも相当なパフォーマンスが要求されます。そこでO.S.エンジン技術陣が1/8オンロードレーシング用に与えたキャラクターは、低速からのトルク感溢れる吹け上がり感覚と、1/8オンロードレーシングには欠かせないトップスピードの伸び、さらにレース中に大きなアドバンテージを生み出す燃費性能。この3つの性能をバランス良く引き出すことが不可欠と考え、ベースエンジンとなるMAX-21XZ-R Ver.IIの開発、さらにそれを元にファクトリーチューニングを施した、O.S. SPEED21XZ-Rを生み出しました。
O.S.エンジンを使用する下、原、両ドライバーは、エンジンの持つ基本性能には大満足。練習ラウンドで走り込み、エンジンの特性をつかみ、そしてシャシーのセッティングを煮詰めます。そんな練習ラウンドを見ていたある現地ジャーナリストが、スピードガンでそれぞれのマシンのトップスピードを計測。その結果なんと、前世界チャンピオンのマシンの最高速度時速109kmに対し、下選手のそれは時速115kmと、圧倒的なスピード差をレコード。この結果は、トップエンドのパワーはもちろんのこと、コーナーからの立ち上がりがいかにスムーズで、トルクフルな出力性能を引き出しているかを如実に語ったスピード記録と言えるでしょう。 さらにO.S. SPEED 21XZ-RはO.S.ブランドのお家芸ともいえるダントツに優れる燃費性能の良さを練習ラウンドから発揮。各国のレーシングドライバーの度肝を抜きます。ライバルエンジンが4分給油を強いられる中、21XZ-Rはなんと5分給油を実現し、10分間の練習ラウンドでも、給油回数を1回で済ませるという、大きなアドバンテージを得ます。 こうした、エンジンの絶対性能がモノを言い、O.S. SPEEDが常に注目を浴びる中、数々のレース経験を積むO.S.の2トップ。下、原の両選手の走りが安定してきます。特に練習走行無しのブッツケ本番で現地入りした原選手は、第一練習ラウンドで、誰よりも速い結果を残すなど、天性の速さをアピール。周囲を驚かせます。扱い安いパワーと優れた燃費性能で下、原両選手の調子はさらに登り調子で、長い長い選手権は、練習ラウンドから、予選ラウンドへと進んでいきます。

予選最終日の3日目は5、6ラウンド目の予選が予定され上位選手はセミファイナル進出へ向け最後の大一番となる。荒れた路面はタイヤ、メイン シャーシを激しく摩耗させ、全開区間の多いコースレイアウトはエンジンのパワー、燃費性能が重要になるタフなコース。10分間の予選では各選手 ピットインを余儀なくされ助手も気が抜けないタフなレース展開となる。


昨年より今回の1/8オンロード世界選手権は、タイヤグリップ剤の使用が全面禁止になる、とアナウンスはされていたものの、そのルールの徹底化がはかられていなかったというアクシデントにより、レース進行が大きく遅延。その結果、予選初日の1,2ラウンドがキャンセルされの結果がスキップという事態が起きてしまいます。レース進行としては理想的ではありませんが、それもまたルール。様々な想いが交錯する中、出場各選手は気を取り直し予選後半ラウンドで、ハイレベルなグリッド争いをスタートさせます。
一回目の予選が終わった時点で、原選手3位、下選手4位と好位置につけ、マシン、エンジン、ドライバーの安定感をアピール。またドイツのピーチ選手が安定した走りでトップを獲得していますが、多数参加している日本人選手も予選ラウンドで、ニッポン人ドライバーのレベルの高さをアピール、なんとトップ10に5人の日本人ドライバーが付けています。その後、予選4,5,6ラウンドもトップドライバーたちの走りは安定していて、トータル4回の予選を終え、原選手が、10分間の予選でトップとわずかに0.9秒差の2位、3位にイタリアのバレストリ選手を挟み、下選手も4位と好位置をキープしたまま予選は終了。トップからピーチ、原、バレストリ、下の順でグランドファイナルシード(Aメイン出場確定)が決定。以下20位までにも3人の日本人選手がポジショニングし、さらにトータルで50位までにはなんと合計9名もの日本人ドライバーが入り、決勝ラウンドで勝ち上がり、さらにAメイン入り、そして世界のトップを目指します。

4月7日から始まった2011年IFMAR1/8エンジンオンロードカーレーシング世界選手権。決勝最終日となる16日には、下、原、両選手を含むAメイン出場確定ドライバー4名以外に、連覇を狙うコラーリ選手らを含む34名のドライバーが、1/4ファイナルから勝ち上がりAメイン出走を目指します。その結果10名で競われるAメイン出走ドライバーに、下、原、の日本人ドライバーを含む5名が出走という快挙。日の丸部隊は、2、4、5、6、7番グリッドからスタートし、それぞれ世界チャンピオンの座を狙います。特に.原選手はO.S. SPEEDと共に2008年度の1/8オフロード世界チャンピオンを獲得したドライバーでもあるので、優勝すれば世界初の1/8カテゴリー、オン/オフ両制覇という快挙となる事から、その動向には世界中のファンも注目します。


1時間後のゴールを目指して、決勝がスタート。唯一の開催国地元アメリカ人ドライバー、レミュー選手はトラブルで出走できず、スタートから9名の選手がバトルを繰り広げます。2位スタートの原選手は、スタート直後から抱えたミッショントラブルがあり、ペースが上がらないものの、我慢のレースで、上位グループに食い下がります。TQスタートのピーチを1回目の給油でバレストリがかわし、トップに躍り出るなど、トップ争いは肉薄、下選手はタイヤ磨耗が激しいコースコンディションで出来るだけタイヤを温存し、タイヤ交換1回という戦略を取りました、OSSPEED21XZ-Rの燃費の良さと相まって、できるだけピットストップを回数を減らしを終盤にはトップの躍り出るという作戦です、その戦略は見事的中しレース終盤の153周目には2位まで順位を上げました。決勝Aメイン中、最もレースをリードしたのは、練習ラウンド、予選ラウンドを合わせ、いつも好調をキープし続けてきたピーチ選手、タイヤ交換のタイミングなどでバレストリが再び前に出ますが、それでもなかなかピーチの牙城を崩すまでは至りません。レースが後半に入り残り1/4となった頃、フロリダ特有の突然の雨。他ドライバーがトップを猛追するも、残り13分の時点で降雨のためチェッカーフラッグ、レース終了。


常に安定した走りを見せていたピーチ選手が、新しいワールドチャンピオンに輝きました。2位にはMUGENをドライブする福田選手、決勝中、数回レースリーダーとなったバレストリ選手は3位フィニッシュ。トップを猛追していたO.S. SPEEDの下、原両選手は、それぞれ4位、5位という結果でレースは終了しました。1/8オンロードレーシング世界選手権初挑戦となるO.S.スピード、さらにデビュー戦となったO.S. SPEED 21XZ-Rは、優勝こそなりませんでしたが、立ち上がりに優れるパワーと、胸のすくトップスピードの伸び、さらに卓越した燃費性能は、世界中のトップドライバーから注目を集め、ライバルエンジンを使用中のプロドライバーからも数多くのサポートオファーが来るほど。 世界一を決める大会で、その性能を大きくアピールしたO.S. SPEED 21XZ-R。今後も世界各国のサーキットで、台風の目となることは間違いないでしょう。
遠くフロリダまで遠征された選手やサポートの皆さま、お疲れ様でした。また、日本人選手団、そしてO.S.エンジンの活躍を応援して下さった皆様、ありがとうございました。





Copyright(C) 2011 O.S.ENGINE All Rights Reserved.